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印南 和行 上田 剛史 榎本 和裕
印南 和行 河西 茂行 中村 晃子 上田 剛史 榎本 和裕


27 火の用心 河西

先日、阪神高速の料金所で突如、ブースに止まった自動車が炎上したそうです。

また海の上では積荷の鉄屑が原因不明の発火を起こし、
携帯電話の電池欠陥による過熱事故が発生するなど、
これまで予想もしなかったような火災のニュースを最近よく聞かされます。

家庭内にある電気やガス器具などの安全性能が高くなったとはいえ、
建物が火事になる危険が全くなくなったわけではなく、
いざ火災が発生したときに、被害を最小限に抑えるような構造かどうかが、
耐震性に並ぶ重要なファクターであることは言うまでもありません。

建物の防火性能に関しては法的な基準が定められていますが、
実はこれが非常に複雑なものになっています。
(複雑はマチガイの元でもあります…)

まず基本的な法令が、建築基準法と消防法の2つにまたがっています。
設計者は2冊の基準書を見比べながら図面を引くことになりますし、
監督官庁もそれぞれ存在します。
(いわゆる縦割り行政ですね…)

地域により適用される基準も変わってきます。
都市計画で定められる防火地域、準防火地域のほかに法22条地域というものもあり、
同じような住宅でも、必要な耐火性能は違うものになるので注意が必要です。

特に戸建て住宅の場合、ほとんどは木造または鉄骨造として作られます。
この構造の場合、防火措置は建物の骨組み全体にわたるものになりますので、
間違えて作ったときの是正は、まさに大工事になってしまいます。

階数によっても防火基準が変わることがあります。
2階建てを設計変更で3階建てにしたところ、防火基準を変え忘れ
間違えて元の設計仕様で作ってしまったという話もあります。
(売主さんは真っ青だったとか…)

マンションの場合は、多くは鉄筋コンクリート造なので、
基本的には耐火建築物となり、シンプルに基準が適用できそうですが、
別の複雑さが出てきます。

消防法では原則としてスプリンクラーなどの消火設備が必要になりますが、
実際には取り付けられているマンションは少数派です。
これは、別途の防火措置をした場合には特例が認められているためで、
ほとんどのマンションがこの特例を受けています。

特例を受けるかどうかはあくまでも任意ですが、
受ける場合には、特例の適用基準が事実上の防火基準として働きます。
(いわゆる誘導型の規制というものですね…)

このように建物の防火性能は、ケースバイケースで大きく変わり、
いわゆる現場の職人さん任せでは、正しく行うことなど到底不可能です。

設計においては適切に防火仕様を指定し、
そのとおりのものが現場で仕上げられているか入念に管理する。
設計能力と施工管理能力、これらが揃ってはじめて、
火に強い住まいが生まれるのだといえるでしょう。









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