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■担当コンサルタント
印南 和行 上田 剛史 榎本 和裕
印南 和行 河西 茂行 中村 晃子 上田 剛史 榎本 和裕


17 計算力 河西

問題。
300+500の計算は、□が何個あるかを考えると、3+5で答えを求められる。
□にあてはまる数は?

これは全国の小学生を対象にして実施された計算力調査で出された問題の一つです。
この答えを「800」としたものが32%もありました。
調査を行った機関は、計算技能を支える「理解力」に課題があると指摘しています。

私たちは“計算”というものを目の前にしたときに、つい数字の答えを出すことに夢中になってしまいます。
そのため本当に解決すべき問題に気づかずに過ぎてしまいがちになります。

先日、今年度の一級建築士試験の一次合格者の発表がありましたが、
この試験においても“計算”問題があり、特に構造力学は多くの受験者が苦手としています。
公式に数字を放り込んで延々と計算した挙句、選択肢にない答えが出てきて自滅される方も珍しくありません。

構造計算をする目的は、地震などが起きたときに建物がどのように“変形”するかを予想することです。
最終的に知りたいのは数字ではなく、目に見えるイメージです。

小さな地震で求めたいのは、揺れが収まれば元に戻るような変形です。
大きな地震が来た時に元へ戻らないのは仕方ありませんが、後で修理できる程度の変形に収まっていれば建物を使い続けることはできます。

絶対避けなければならないのは、中の人間が逃げる間もなく一気に壊れてしまうことです。
最悪でも避難する時間はあるようにゆっくりとした粘り強い壊れ方を耐震設計ではイメージしています。

ところが、ひとたび“計算”という作業に入ってしまうと、出てくる数字が基準値を満たしているかどうかだけが関心事になりがちです。
またプログラムが正確であれば答えも正確と思い込んでしまいます。

コンピューター化が進んだ現在では、かなり複雑な形状も計算できるようになってきました。
しかし複雑な計算が必ずしも正しいとは限りません。

“計算”は多くの想定条件の下で成り立っていて、条件が変われば答えの数字も変わります。
想定の幅を読んで、多少条件が変わってもブレが少ない答えを出すためには、建物全体に対する変形のイメージをもつことが不可欠になります。

試験に出るような単純な形状であれば、形の変化を描くだけで答えが出ることもよくあります。
しかし反射的に“計算”し始める人が後を絶ちません。
構造への理解力を深めて形のイマジネーションを育むことにより、計算力を高めることが一番求められているように思います。

どこがどのように壊れるのか?
地震が起きた時のために、私たちが本当に知りたいことです。
「…>1.0」では何も分かりません。







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