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印南 和行 上田 剛史 榎本 和裕
印南 和行 河西 茂行 中村 晃子 上田 剛史 榎本 和裕


7 陸が沈んでいく 河西

今話題の映画のことではありません。
海外へ出かける際、実際に足を踏み入れた方も多い場所といえば…
そう!関西国際空港!!
実は関空は年間14cmものスピードで現在も沈み続けています。

なぜ巨大な空港島が沈むのか?
それは意外にも、土のミクロな仕組みに秘密がありました。

ここで一切れのリンゴを思い浮かべて下さい。
軽く持てば形はまったく崩れない、歯ごたえのよいリンゴですが、
これの一部に力を加えてグリグリ押すと、
甘い汁をにじみ出しながら、表面が凹んで行きますね。

果物の細胞と同じように、土の中にも水分が含まれています。
地面の上に重いものが載ると、やはり土中の水分がにじみ出てきます。
すると重さの影響を受ける地盤全体が収縮するので、地面が沈んで行きます。
これを圧密沈下と呼びます。

圧密による地盤沈下は永遠に続く訳ではありません。
水分は徐々ににじみ出さなくなり、沈下は時間とともに収まります。
関空が水没する訳ではないので、みなさんは安心して旅行にお出かけ下さい。

新たに重さが加わると、再び地盤沈下は始まります。
いったん落ち着いているところであっても、
さらに大きな建物をつくると、また下がり始める心配があります。

では反対に、重しが除かれるとどうなると思われますか?
大きな建物が建って地盤が下がった後に建物が取り壊されると
地面は盛り上がってくるのでしょうか?
スポンジならば元に戻りますが、リンゴの凹みは戻りません。

いったん地盤が沈下してしまうと元に戻らないということは
同じ重さまでは沈下が起きないことを示しています。
同じ位置に同じ重さの建物を建て替える時は
地盤沈下の心配はずっと小さくなる訳です。

このように長期間かけて進行する圧密沈下とは別に、
短時間で土が変形することにより発生する即時沈下が存在します。
よく地盤の強度を示すものとして用いられるN値は
実は即時沈下と関連した指標なのです。
圧密沈下の懸念がある地盤では別途に、圧密試験が必要になります。

地面の下は実態が掴みにくく、何が起きるかも様々です。
この不確実なものから安全を得るためには、多面的な調査が重要です。
1枚だけのボーリング図から設計する勇気なぞ誰も欲しくはないですね。







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